少なくとも僕の周りにいる4人の旅行好きはイポーに行っている。そして、その人たちは皆口を揃えて「きっと君もイポーを気に入ると思う。行ってみた方がいい」と予言めいたことをいう。
ということでイポーについて調べてみたのだが、マレーシアの北部にあるとても小さな街でなぜ僕のまわりの人たちはこの街にピンポイントで行くのだろうかと思ってしまうくらい地味そうなところだった。とはいえ、うっかりエアアジアのスーパーセールでクアラルンプール行きのチケットを買ってしまい、そこからの行き先を考えると、まあイポーに行くことになるよな。
行ってみてどうだったかというと、すっかり僕も好きな街になった。タイのチェンマイ、ラオスのルアンプラバン、台湾の台南、そして福岡の街が好きな旅行者であればマレーシアのイポーもまたリストに加えた方がいいと思う。魅力的な街だった。
鉄道のチケットはオンラインで一ヶ月前から予約することができるので予約しておいた方がいいと思う。ただし、エアアジアの羽田線はKLIA2についてから入国まで1時間以上はかかるので乗り継ぎ時間は余裕をもって予約した方がいい。
特急でイポーに到着すると駅舎の豪華さにおどろく。コロニアル建築の建物は見ごたえがある。しかし、駅自体はシンプルで迷うことはない。そして待つ場所もあまりないので帰りはぴったりの時間にやってきた。
駅から直接ホテル行くのももったいないと思い、OLDTOWN White Coffeeの旗艦店でホワイトコーヒーの甘さにおどろき、そこからのんびり歩いてホテルまで行ってみることにした。Regalodge Hotelは旧市街のはずれにあるビジネスホテルみたいな感じのところで、そこそこの値段できれいではあったけれど全体的にかなり古びていて、かつあまりいい雰囲気ではなかったような気がする。なにより、旅行サイトのクチコミをあからさまに買っているのはいただけない。このホテルだけが今回の旅での失敗だったなあと思う。
イポーは美食の街として有名で、とくにきれいな水で作られるもやしが美味しいということだ。もやしなんて新潟で食べるものと違いないんじゃないかって思っていたのだが、行ってみてびっくりしたのは全然違うものだった。イポーのもやしは芯がしっかりしていてシャキッとした食感や爽やかな味わいが絶妙にうまい。
もやしを食べにマレーシアまで来るってあまり理解されないことかもしれないが、僕としてはそれが正義だと思うくらい「もやしを食べにマレーシアへ来たい」って思う。Restoran Lou Wong Tauge Ayamで食べたもやしとチキンは美味しかったなあ。とくに夕暮れどきは店の前が歩行者天国になって外に出たテーブルで夕暮れ眺めながら食べる食事は最高に気持ちがよかった。
同じくチキンライスということであれば白宮鶏飯のグリルしたチキンライスは絶品で、いままで食べたチキンライスのなかでもトップクラスの味だったな。クアラルンプールに戻ってからこの街で有名なNam Heong Chicken Riceでも食べたけれど、ちょっと色あせてしまったくらいだ。
そしてイポーが好きな街だなって思うのは、猫がのんびりとしているところ。猫たちは人との距離感はそれなりにあるものの、完全に拒絶まではされていなくていい距離感を保っている。悠然と目の前を通り過ぎる猫や、お店の飼い猫なのに散歩している間にお店がしまって途方に暮れている猫、ヤスミン・アフマドミュージアムの主のような猫や市場でねずみ取りなどに働く猫など、こういうところも僕がイポーが好きなところだ。猫の表情がすごくいいと思う。
Life Shopで買ったお土産物たちはいまでも使っていて、お皿とか出すたびにまたイポーに行きたいなって思うくらい。イポーって本当に小さな街だけどあれこれ楽しい。街歩き、猫と遊ぶ、美味しいものを食べる。のんびりするという旅行スタイルにはぴったりのところだ。また、ヤスミン・アフマドのミュージアムにもいきたい。
二泊してクアラルンプールに戻るときには、つぎにいつ来ようかって思ってしまった。行きつくしてもまた散歩したいって思う街ってそうそう多くはないし、また同じ時期に来るのがいいかなと思っているくらい。
クアラルンプールに戻ってから、少し寂しくもあり、そして街のスピードの違いに戸惑ったりしていた。一泊のみのトランジット的な滞在だったこともあり、宿泊はブギッビンタンの交差点にあるWOLO Hotelに泊まったのだがコストパフォーマンスのいい便利なホテルだった。
クアラルンプールではチャイナタウンを散歩してまわり、汉记靓粥でお粥を食べたり、オールドチャイナカフェでお茶を飲みながら涼んでみたり。セントラルマーケットでお土産物をさらに少し探して夕暮れ時にはジャラン・アローの名店である黃亞華小食店でビール飲みながら旅を振り返ってみたりしていた。
タイなどと比べるとちょっと地味な印象を持っていたマレーシアなのだけど、今回のイポーとかは楽しくて美味しく、のんびりできたいい旅だったな。つぎはいつ来られるだろうかって思う旅だった。
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