「はやとの風」で鹿児島中央から吉松までやってきた。隣のホームには美しい赤い色をした列車が停まっていて、これが「いさぶろう・しんぺい」という名前のついた特急列車だ。
人吉から吉松までの下り線が「いさぶろう」で、吉松から人吉までは「しんぺい」という行き先によって違う愛称がついている。どちらもこの路線の開業に際しての鉄道の偉人にちなんだ名前だということ。
ということで僕が乗ったのは吉松から人吉までの「しんぺい」に乗りこむ。特急列車とはいえ、「はやとの風」と同じく観光列車の意味合いがつよくて、日本三大車窓の一つに数えられる「矢岳越え」では列車を停止させたり、途中駅でも列車を降りて見学する時間があったりする。なにもない山の中にスイッチバックやループ線をつかって鉄道路線を敷設していて、すごい苦労がしのばれる路線の駅をひとつひとつ停まっていく。とにかく車窓から見える山並みや里山の風景が美しい。海沿いを走る鉄道もいいけれど、こうした車窓もまた旅情があるものだなって思う。
ところで、日本三大車窓とは長野の姨捨駅からみえる善光寺平と、ここ肥薩線の矢岳越え、もうひとつは根室本線にあったらしいが旧線ということで既に廃止されてしまっていて実質見ることができず。僕ははからずも日本三大車窓についてほぼ見たことになるのか。
それにしてもほとんどの駅のまわりには人家もなくてよくこんなところに鉄道を通したなって思う。鹿児島本線が海沿いに走っているため、海からの攻撃に対してのリスク回避として山中に鉄道を敷設したとのことだが、まあそれにしてもものすごい労力だっただろうな。
それにしても、スイッチバックで先ほどまでいた駅が眼下に見えたり、矢岳越えの風景など見どころが多い。ループ線で遠くにこれからいく駅が見えるとかいうのも不思議だったなあ。たまにはこんな行きつ戻りつな鉄道旅もいいものだ。
2020年7月の台風により現在は長期運休中なのだが、いつかまた乗りたい路線です。
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