宮崎の南部を走る日南線の旅をしてきた。鹿児島中央駅から特急に乗って宮崎まで行き、そこから観光特急の「海幸山幸」南郷まで2時間弱の列車旅。特急とはいえ、のんびりした速度であちこちに停まりながら進んでいく。
JR九州の観光列車って客室乗務員が乗りこんでいて、地元に伝わる神話とか車窓の風景とかをアナウンスしてくれる(そして美人が多い…)。各地のアナウンスなんて、ちょっとした観光バスのようでもあるけれど、バスと違うのは空間の大きさと車窓からの風景だ。
鉄道は道路とは違い生活に沿ってつくられているというよりも、拠点を結ぶ感じなので途中は人気のない自然のなかや海沿いぎりぎりを走り抜けたりする。この風景が海幸山幸に乗る価値のひとつだなって思う。
宮崎を出て途中の青島あたりまでは山の中を走って行くのだが、青島から先は海に沿って走るようになってくる。「鬼の洗濯板」と呼ばれる波状の奇岩群が見えるところでは列車をとめて案内をしてくれるのは観光列車ならではだな。そして社内ではアテンダントの方が「海幸山幸」のネーミングのモデルとなった「海幸彦、山幸彦伝説」を紙芝居で紹介してくれたりする。どんな話しなのかは乗って紙芝居を聞いてみてもらいたい。
飫肥駅ではながめに停まるのだが、ここは古くからの城下町として有名であり、日露戦争を終結させた小村寿太郎が産まれたのはここ飫肥だったのかと知る。「坂の上の雲」が好きでよく読み返すのだが飫肥はいつかちゃんと訪れたい場所だな。
そしてハイライトは終点の南郷駅の手前にある南郷川橋梁からの風景。単線の列車が海のそばの河口を通りぬけるとまるで海の上に浮かんで進んでいくかのような風景だ。鉄橋から川面までの高さが近いこともあるのだと思うが、旅に出てこの風景をみることができてよかったなあって心から思える風景だった。
利便性がいいとは言いがたい鉄道での旅だけど、そこから見える風景は旅をしなければ見えないものなのだなって思う。ちなみに、終点の南郷駅ではレンタルサイクルをやっていてそこで自転車を借りて港の駅めいつまで行ってランチを食べてきた。きれいな場所なので南郷駅周辺をめぐってみるのもいいかと思う。
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