池波正太郎のエッセイによく登場するところで、店内が劇場のようであり、店員さんの対応も完璧に素晴らしいと絶賛されているお店。目黒に立ち寄る機会があって、迷わずここに寄ってみた。
とんかつはオーダーしてから、低温の油でゆっくりと揚げられていくので、ここはひとつ池波正太郎と同じように瓶ビールを注文して飲んでいるのがいい。待ち時間は結構長いけれど、まさに劇場のようで職人の手際は見飽きることがない。店内はBGMもなく、静かに落ち着いている。
店員も無駄に大声で挨拶するわけではなく、ごく普通の口調でシンプルな対応。それでいてよく目配りがきいているのでとても心地よく、なんだか楽しくなってくる。
そして、ここのとんかつは独特の雰囲気がある。
一見すると焦げているかのような感じもあるし、衣が肉からはがれちゃいそうなのだけど、一緒に食べるとこれがもうとんかつの概念が変わるくらい楽しくなってしまう。
というか、こんなもろい作りの物をよくきれいに切り分けられるなって思う。
この衣の独特な風合いは、ひたすら丁寧な揚げによっていて、この待ち時間がそれをつくっているのだろうな。
そして僕がこのお店になにより好感が持てるのは、こんなにも有名店になったのにそれにおごることなく毎日丁寧な仕事を続けていて、できる限り良心的なサービスを提供しているということだ。こんないい店が東京にある限り、この街は幸せだなって思う。
とんかつとんき
住所:東京都目黒区下目黒1丁目1−2
時間:16:00 – 23:00
休み:火曜日
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