今回、ハノイへの旅をするきっかけとなったのはドンラム村というところに行ってみたかったから。家でなにをするとでもなく見ていた岩合光昭の世界ネコ歩き 「ベトナム・ハノイ」編でハノイ郊外にある小さな村が紹介されていた。その村の中心には教会があって入り組んだ細い路地がインドシナっぽい風景をつくっている。
番組のなかではその村の名前などは紹介されていなかったのだが、どうやらハノイから50キロくらい離れたドンラム村という古い集落だと確信できた。いつか行ってみようかなあと思ってはいたのだが、バイクを借りれば案外簡単なんじゃないか?と思いハノイへのエアチケットを取って行ってみることにした。
レンタルバイクは泊まっていたホテルのフロントの女の子にお願いしたら1日1ドルとかそんな感じの金額で貸してくれて「あ、ちょっと待ってて」みたいにすぐもってきてくれた。このホテル、本当にいろいろ便利で助かった。バイクは125ccのスクーターで「ガソリン入ってないからまずあっちにあるガソリンを入れること」ということでガソリンを入れて出発。
ハノイの朝はバイクの波ともいう感じで前後左右とふれ合うくらいの距離感を持ちながら一定の速度で走って行く。これ、ものすごい経験だ。流れから出るのもひと苦労。途中、道を間違えて川を渡ってしまったときにはちょっと絶望してしまったくらいだったが、橋の上から眺めた朝のハノイの風景は幻想的で美しかった。
ドンラム村まではハノイ市街を抜けて2時間くらい。途中でいくつか小さな村の商店街や戸外の大きな町でバスと併走したり、高速道路みたいに車が走っている横を通ったりと盛りだくさんだ。ずっと前にベトナムをバスで縦断したことがあるのだが、そのとき車窓からみた風景が自分の目の前にあるというのがものすごく楽しい。ドンラム村ももちろんよかったのだが、このハノイ郊外のバイク旅ってなにがあるわけでもないがいままでのベトナム旅と全然違って楽しいな。
暑さにやられすっかり疲れたところでようやくドンラム村に到着、のどかな田舎道を抜けた丘の上に村はある。町の入口には広場があって屋台が出ていたりする。その一軒の屋台の店先にお金はらってバイクをとめさせてもらい村のなかは歩いてまわることにした。実際、道は狭いので村は歩いてまわった方がいいと思う。
どうも、このドンラム村はベトナム人的な観光地として一定の認知度があるみたいで朝早くにバスで乗り付けて村をみるツアーがあるみたいだ。僕が到着したのは10時過ぎだったこともあり、朝イチのお客さんがおわり村は一段落した感じ。
バイクで訪れるために乾期を選んで来たのだが、猫は数匹家の物陰からこちらを眺めてくるくらいだった。そうか、もう暑いから猫は家のなかに帰っているのか。そして、岩合さんの番組は雨期っぽかったものなあ。肝心の猫にはあまりあえず。そして敏捷に動くので写真にもあまりきれいにおさめられず。涼しくて町がきれいなのは雨期の方かもしれない(バイクで来るにはしんどそうだが)。
しかしそれでも、静かな村の路地を散歩したりしていると「あれ、おれはなんでこんなところを散歩しているのだろう」って不思議な感覚がある。普段、自分がいる日常からずいぶん離れたところにいるのに、誰かの日常に紛れ込んだ感じがあってそれが妙にしっくりと来るというか、不思議な感覚。
村の入口には地元で作っているというサトウキビのお菓子を打っているお土産物の屋台があって試食させてもらったら素朴で美味しかったので買って帰ることにする。誰かにあげるお土産というよりも、家に帰ってこの村を思い出すための自分へのお土産といった感じ。
ハノイからちょっと離れるだけでこんなにも素朴で素敵な場所が残っているなんて。いろいろな旅のスタイルがあるけれど、レンタルバイクを借りることでずいぶんと旅の幅が広がって色々な経験ができるものだなって思う。少なくとも、朝のハノイのバイクラッシュを経験して乗り切った僕のバイク運転テクニックはすごく自信になった。あれは一度くらいはなかに入って体験してみるのもいいと思う。
ドンラム村/Đường Lâm Villag
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