せっかく松島まで来たことだし、松尾芭蕉が奥の細道でもっとも訪れたかったという松島を船でみてみることにした。松島は日本三景のひとつとして有名(ほかのふたつは広島にある宮島と京都の天橋立)で一度くらいは見ておきたかったというのもある。随分前に来たことがあるのだが、あんま記憶になく写真も撮っていなかったので。
ところで、松尾芭蕉なのだが旅の目的として松島をあげていたのに、松島に関する俳句は創作していないらしい。松島があまりにも美しかったからだというのが理由らしいが、期待が大きすぎたという可能性もあるよな。ちょっと僕も自分の目で確かめてみることにする。
乗ってみた船は松島から本塩釜まで50分くらいかけて移動する船で「芭蕉コース」という名前がついている。鉄道で松島に来たのであればこの芭蕉コースで本塩釜に移動してしまうのが便利じゃないかなって思う。
船は松島を出てしばらくは湾内をまったりと運行していく。船内放送で周囲の案内をしてくれるのだが、本当に小さな島が多くてこの複雑な地形が津波からこの場所を守ったんだろうなあと思うと美しいだけじゃ済まされない感慨みたいなものがある。
仁王島という、もうすぐこれは島じゃなくなるんじゃないかという岩礁みたいなところを過ぎたあたりからこのクルーズのハイライト、外海に接する島々はそれぞれがちょっとした盆栽みたいなたたずまいで松の木々などが美しい。本当に箱庭とか盆栽で作られているみたいな感じだ。鐘島の洞窟をながめて、あの場所に上陸してみたいなあとか思ったりするのだがまあそれは難しい。
このあたりで船は本塩釜方面に航路を変えて行くのだが、遠くに見えるいくつかの大きな島は有人島らしい。いつかちょっとあっちの方にも行ってみたいなあとか思ったりする。そして、松島というのは遠景からみるのもきれいそうだが、この風景のなかに入り込むと海の静かさみたいなものと箱庭的な美しさが身近に感じられる。芭蕉も小舟に乗ってみてまわったりしたんだろうか。
僕の語彙では一句詠むなんてまったく思いつきもせず、船内で売っていた笹かまぼことビール飲みながら、だらだと風景を眺めていたのだがまあ色んなタイプの旅行がある。そして、きっと芭蕉は松島の風景だけじゃなくて食とか色んな楽しい体験をしているなかで、一句詠んでいる場合じゃないと思ってしまったのかもしれないなとか考えていた。いやでも、船旅は規模の大小関わらず楽しいものだ。
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