今回のミャンマー旅行で一番気になっていたのはヤンゴンからバガンまで夜行列車の旅。

日本では列車の旅というと、新幹線で単なる移動か、豪華寝台列車でセレブ旅という二極化がすすんでいる感じだが、ミャンマーはまだまだ旅情ある夜行列車の旅というものが味わえる。

ヤンゴン~バガン間の夜行列車は定時では16:00にヤンゴンを出発して翌朝8:00にバガンに到着することになっているのだが、僕が乗ったときはとくにアナウンスもなく17:00に出発をして、バガンに着いたのは翌日11:00だった。

列車に乗っていたのはじつに18時間。長すぎるだろう。夜が明けてからかなり飽きていた。

列車のチケット。手書きだよ・・。
ヤンゴン中央駅
駅の待合室。ここで待っておき、アナウンスに従って移動。

なお、このルートについて飛行機で移動すると1時間弱、バスで移動すると約8時間となり、いかに列車での移動が酔狂なことなのかわかるというもの。

列車で移動する理由は値段と荷物の量ということだが、今回の寝台車両はひとり45ドルだったので、バスより数倍高く飛行機の半分くらい。

はっきりいって全然安くない。

列車の移動が何故こんなにも時間がかかるのかというと、線路状態がひどいからなのだが、どれくらいひどいかというと、これはもうやたらと揺れてやたらと遅い。

駅の列車時刻案内版。気持ちいいくらいにまったく読めない。何時なのかすら分からない。

どれくらい揺れるかといえば、日本の新幹線が全自動洗濯機だとすれば、ミャンマーの列車は金だらいみたいだ。

僕はトイレ出て手を洗っていたら。列車がジャンプするかのように揺れて水が全身にかかったときには列車がどこかに墜落するのかと思った。

そして、スピード感でいえば、平均的な速度としては自転車くらいといったところ。

子どもが走っていつまでも追いかけて来たのには驚いた。というか、抜かれるかと思った。

ホームには物売りが水とかフルーツをうっている。
なぜか機関車だけやってきた。今回のバガン行きでは3番線から出発した。近い時間帯で1番線からマンダレー行きの夜行も運行されているので注意が必要。

今回乗ったのはUPPER CLASSで列車で唯一寝台の車両。コンパートメントになっていて、一車両に二部屋ついている。

一部屋は四人まで入れるが、上段は揺れがすごくて熟睡するのは命と引き替えになるかもしれない。

かなり幸運なことに、今回の旅では僕と同行者で部屋を占領できたので、快適かどうかは別として気楽な列車旅になった。

もしかしたら、二人くらいで乗るなら、二倍の値段払ってでもコンパートメントを借り切ってしまうのがいいかもしれない。

1時間遅れて列車出発。
UPPER CLASSの寝台。完全個室のコンパートメントにベッド4つ。

車両の設備としては二段ベッドに、専用のトイレと荷物室。ただ、荷物室はトイレの手洗いの水が漏れていて全然利用できなかったが。

当然、エアコンはついていない。

そして、車両の上には電灯がついているのだが、これが月光かというくらいに儚げな光量で、夜もふけて目が慣れればそれでもいいのだが、普通に考えると電灯がついていないと同義くらいの光量だと思う。

まったくもって自分の身体能力を試される旅だ。

それでも、この列車旅を一度は経験することをおすすめしたいのは、沿線にみえる風景。

きっともう二度と通らないかもしれない小さな駅で食事を求めたり、窓の外に広がる夕暮れの景色。そして、夜。月明かりの下にみえる風景はここでしか得られないものだと思う。月明かりでこんなにも夜が明るいのかと驚く。

駅はどこもわりかし清潔だなと思った。
ヤンゴンを出てからしばらくは郊外の環状線を走る。通勤の風景が興味深い。

自転車と競争するくらいの速度で列車はすすむ。。
そして夕暮れ
名もわからぬ駅を過ぎていく
途中駅でビール買う

途中の駅でビールを買って飲んだら、いつの間にか寝てしまっていたみたい。

そして、夜明け直前に寒さで目覚める。窓が開けっ放しになっていて、締めようとしたけれどびくともしないくらいに固定されている。

そういえば・・ヤンゴン駅で窓開けたときも重量挙げかってくらい目一杯の力任せで窓を押し上げたものな。

隣をみると同行者側の窓が閉まっていて、同行者はみのむしみたいに寝袋にくるまれている。こいつは・・おれを見捨てて寝たのかと若干殺意が芽生えるものの、どうにも眠くなりそのまままた寝てしまった。

夜は外気が15度くらいまで冷え込むので、夜行列車での移動では防寒対策は必須です。

夜明けの駅での停車

そして再び数時間後。ようやく太陽がのぼってきた。

窓から吹き込んでくる風は相変わらず冷たいけれど、通り過ぎる小さな町にある仏塔の向こうからみえる太陽の光をあたたかく感じる。太陽の力の偉大さを知る。

夜行列車で旅するだけなのに、かくもいろいろなことを感じて感動することができるのかというくらい、さまざまな体験にあふれている。

あたたかい。夜明けがこんなに嬉しいものとは。
朝食にサモサをかってみる

そして、バガンへの到着定刻を過ぎた午前9時。

外は太陽がすっかりあがっているけれど、列車はさきほどから2時間ほどノンストップで走り続けている。

とまった駅で朝食にサモサを求めつつ(インドのサモサより優しい味だった)、身振り手振りで駅名とバガンまでの距離をきいてみる。

どうやら、まだ当分着きそうもないようだ。。

やがて列車はだんだんと乾燥地帯に入ったみたいで、空気もかなり乾燥してきた。

ヤンゴンとはだいぶ気候の違うところにきたようだ。まったく水の流れていない川を渡っていく。あとで知ったのだが、バガンのエリアはかなり乾燥している地域らしく。これが、パガン王朝衰退の原因ともいわれているようだ。

子どもと列車の競争。あやうく負けそうになる列車。持久力で勝った感じ。

ヤシ畑のプランテーションみたいなところを延々と30分以上走り続けて、小さな駅を通り過ぎて(すごく小さな駅にも駅員がいて旗で合図を出している姿は感動した)、やがてバガンに到着。ヤンゴンからの列車はバガンが終着ではないものの、10分以上停車するらしく、駅名も英語で表記されているのでわかりやすいと思う。

バガン駅近く

バガン駅はニャウンウー郊外にあり、駅前はかなり閑散としている。乗り合いタクシーがいるけれど、かなりふっかけてくるが、移動手段はこれしかないので、ホテルに予約をしている場合は、ピックアップの交渉などをしておくのも手段かもしれない。

バガン到着

あっけなく到着をして、ずいぶんとアンチクライマックスな列車旅の終わりだったけれど、過ぎていく景色や月光の下で見た田園、そして夜明けの風景など、いちいち美しくて濃い体験をしたなと思う。

なんだか、やらたと沢山書いたが、まだまだここに書き切れないくらいいろいろな思い出が残る面白い列車旅となった。

二度は勘弁だが、一度はしてみてもいいと思う。

箱はでかいが、なにもないバガン駅

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“ヤンゴンからバガンへ夜行列車の旅” への1件のコメント

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